小さき、愛おしき“帯ビジュー”Small and lovely obi jewelry
自然のままの木の表情に温もりが宿る寄木細工や、日本画家が手がける小宇宙のような箔焼きの世界、色鉛筆の優しさを包み込んだガラスで帯まわりを表情豊かに演出しませんか?
Why don't you create a rich expression around the [OBI] with the parquet that warms the expression of the natural wood, the world of foil burning like a microcosm created by a Japanese painter, and the magic of the gentle colors of colored pencils?
工芸の技とセンスが光る帯ビジュー
ファッションにおいてもネックレスやブレスレットを装いに加えるように、きものスタイルだって足し算のお洒落を楽しみたいものです。帯留めやチャームなどは、面積は小粒ながら、その日の気分を代弁したり季節の機微を囁いたり……コーディネートを一段とブラッシュアップするものです。
きものスタイリストの秋月洋子さんが監修する和装ブランド「れん」より、大人の女性の装いに新鮮な彩りを添える3組の作り手をご紹介します。
matsurika (マツリカ)
ガラス作家・古川莉恵さんが手がける「matsurika」は、スモーキーなガラスの奥から彩がほわっと立ち込めるような儚さに魅了されます。
この優しい着彩は、光を通しやすいという理由から色鉛筆を用いているそうです。その特性によって、ひと雫の染料が水に徐々に溶け込んでいくような自然なグラデーションがガラスを彩ります。さらに、「matsurika」の色彩は年月とともにゆっくりと階調が変わるのだとか。重ねた時間や思い出が、“その人なりの色”を作る……。
ぜひ「これぞ、わたし色」と呼べるアイテムと出合ってください。
小さめのサイズですので、組み合わせてコーディネートしても素敵です。
sulfur (サルファー)
日本画家である原こなみさんによるジュエリーブランド「 sulfur(サルファー)」。
sulfurとは“硫黄”を意味し、箔と硫黄で施される日本の伝統技法「箔焼き」からインスパイアされて誕生しました。
この「箔焼き」とは、硫黄などを用いて化学反応で金属箔の色を変える日本画・日本工芸の伝統技法。反応の過程で金属箔は様々な色に変化するため、制作過程の一瞬一瞬の加減や素材の持ち味が個性となり、1点足りとも同じものはありません。スノーボールのような、万華鏡のような不思議な魅力が溢れるビジューは、身に着けているだけでカンバセーションピースとなりそうです。
金糸や銀糸を用いた帯に合わせると、不思議な煌めきのニュアンスを演出。
白谷工房
人口50余人という鳥取県の小さな白谷(しろたに)集落にある工房で、「れん」のために制作された寄木細工の帯留めと帯飾りのご紹介です。
大工を生業とする職人が端材の廃棄に心を傷め、どんな小さな木も無駄にしたくないという思いから生まれました。そのため、白谷工房では材料の選別をしていません。節や虫食いの穴が、時とともに朽ちた部分も自然が作り出した表情を、あえて作品の個性としてデザイン。帯留めはもちろん、チャームは帯締めに引っ掛けたら揺らめく帯飾りに。糸の味わいを感じる紬地の帯に合わせてはいかがでしょう。
さりげなく、じんわりと優しさ薫るきものスタイルをつむいでください。
文/k.regalo 樺澤貴子