琉球漆器とは
長い琉球王朝を経て暖かい気候のなかではぐくまれた、琉球漆器ならではの木材、加飾方法があります。木材は、沖縄県の県花である「デイゴ」や 「シタマキ(エゴノキ)」「センダン」が多く使われています。
加飾は、沖縄の漆器の代表でもある「堆錦(ついきん)」という技法では、漆と顔料を合わせた堆錦餅と呼ばれるものを薄く延ばして柄に合わせて切り取ったり切り抜いたりしたものを 貼り付けて絵付けをしていきます。「螺鈿(らでん)」という技法もまた、古くから琉球漆器で使われている技法であり、貝を薄く削ったものを貼り付けて使われています。
これらの「堆錦」や「螺鈿」、または「蒔絵(まきえ)」で、ハイビスカスやストレチア、龍など、沖縄の色鮮やかな自然や文化を表現しています。
歴史
沖縄の漆器の歴史は長く、中国との貿易が盛んであった琉球王国時代14~15世紀頃中国から伝わったとされています。漆器の特徴として乾燥するには温度と湿度が必要であり、年平均気温 22.4℃、湿度 77% の沖縄は漆器を作るのに非常に優れている環境です。15 世紀に統一された琉球王国の王府の中には「貝摺奉行所」(かいずりぶぎょうしょ)を設け、そこで漆器の制作を管理していました。貝摺奉行所が記録として出てくるのは 1612 年ですが、それ以前から組織的に漆器を制作していたと考えられます。
16~17世紀は朱や緑の漆に細かな沈金技法を用いた作品や朱漆に螺鈿の作品などが多く見られ、17~18世紀は黒漆に夜行貝の赤や青を活かした細かな螺鈿の作品が中心となっています。