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  • 平戸松山窯 三川内焼(長崎)
  • 2024年3月29日

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    平戸松山窯 三川内焼(長崎)Hirado Shouzan kiln -Mikawachi ware from Nagasaki-

    4/1(月) - 5/31(金)

    江戸初期に設置された平戸藩の御用窯の流れを汲む、三川内焼窯元。先人陶工たちにより今に受け継がれた技術を守り、染付・白磁にこだわり。常に新しい三川内焼を牽引しています。

    Mikawachi Pottery is a kiln established by the Hirado clan in the early Edo period. The kiln has maintained the techniques passed down to the present day by the potters who has been practicing by focusing blue and white porcelain.They become a leading potters for the future of Mikawachi.

    平戸松山窯
    ひらどしょうざんがま

    三川内焼は、十六世紀末 当時の平戸藩主松浦鎮信公が、「朝鮮の役」の時 平戸に連れ帰った陶工達に焼き物を作らせたのが始まりとされます。そのため三川内焼は別名平戸焼といわれます。その後、良質の陶土を求めて陶工達がたどり着いたのが、長崎県佐世保市の三川内です。

    三川内天満宮に祀(まつ)られる「高麗媼(こうらいばば)」を祖先とし、その流れを脈々と今に引き継いでいます。江戸時代以来、みかわち焼を代表する唐子の器をつくり続けてきた窯元です。

    伝統的な献上唐子の抹茶碗

    松山窯の得意とする絵柄は、ふっくらとした愛らしい唐子絵、細密な青海波文様、モダンな唐草文様等がありますが、「新しい伝統」も着実に育まれています。

    伝統的な「献上唐子」を描いてきた一方で、現代に受け入れられる「創作唐子」や、陰刻と染付の意匠豊かな作品なども生まれています。また、細工も得意とし、獅子や象、唐子など古典のモチーフを新たな視点で生き生きと蘇らせています。

    唐草と牡丹を組み合わせた優美な染付は、平戸松山の代表的な文様
    細密な青海波文様、モダンな唐草文様等がありますが、「新しい伝統」も着実に育まれています。

    季節の花をそのままに、染付で皿に映し込みました。

    平戸松山窯の作品の主流は『染付』です。

    染付とは、焼物の焼成前の生地に焼き上げると藍色に発色する「呉須」を用いて絵を描く技法です。青一色で、人間の表情や草木の瑞々しさを表現しなければならないため、細やかで熟練した描写技術が必要とされます。


     

    窯元「いま」語り

    平戸松山窯 当主
    中里 月度務
    (なかざと つとむ)

    植えつけてもらった「やきもの愛」

    やきものに必要な技術や知識が身につくだろうと、佐賀県立有田工業高等学校に入学しました。デザイン科へは「やきものをつくるのは、技術よりセンス」という父の考えがあったからです。また将来、やきものを仕事にする人との出会いをさせたいという気持ちもあったと思います。

    高校を卒業して、佐賀県立有田窯業大学校へ。それから東京・赤坂にある和食器専門店の陶香堂に入社しました。その当時は、家業なんて継げばいいだけと思っていました。やきものを特に好きというわけではなかったですし、学校の授業はいい加減。父はそれに気づいていて、この陶香堂の仕事を学ぶことで意識を変えさせたかったのだと思います。

    陶香堂はやきものの取引が専門ですが、ガラス工芸や塗り物もありました。また、地方からさまざまな番頭さんが出入りしていたので、産地の情報や事情、新作も、ここにいるだけですべてがわかります。また、見本市があるときは、いつも連れていってもらい、いろいろなやりとりを教わりました。

    特に、当時の社長から「やきもの愛」を植えつけてもらい、生半可な意識を根こそぎ変えてもらったことは感謝の気持ちしかありません。この恩を何としても返したいという思いは今もあります。

    3年間、陶香堂に勤め、平戸松山窯のレベルが今、どのくらいなのかというのがだいたいわかりました。自分が継ぐ以上、下げることはできない。どうやっても上げていこうと決意し、三川内に戻りました。

    先人たちの仕事を研究する

    それから父の前に座って、職人さんたちと絵を描く日々。祖父がロクロ師だったので、私はロクロに興味がありました。陶香堂で勤めていた間、やきものは絵重視ではなく、形と細部の仕上げが最も重要だということを教わっていました。だから三川内焼のロクロ職人さんを見て回り、つくり方を聞いて我流で勉強をしました。

    絵は父から学びました。「筆はこう動かせ」という具体的なものではなく、「ふわっと行け」「シュッと動かせ」と擬音での感覚的な教え方だったので、最初は戸惑いましたけれど。

    細い線を長く引くことを意識しだしたのは、実家に帰って5、6年後、デパートの催事を引き受けたのがきっかけです。そのときに初めて一般のお客様と、つくり手の私が同じ空間で話をする機会を経験しました。良い品でないと買ってもらえない。技術と商売が重なった瞬間でした。

    染付にこだわりはじめたのは、15年前くらいから。先人たちの仕事を研究し、参考にするようになってきました。染付は初代清風与平(せいふうよへい)。細い線の技術は、三川内焼の名工で「三猿(さんえん)」と呼ばれた中里巳牛太(みまた)です。この二人の圧倒的な影響を重圧に感じながら目標としています。

    つくり手にとって目指すべき人がいるのは大切なことです。もし、自分が次の後継者を育てるときには、こういう重圧を残しておかないといけないと思っています。三川内焼は江戸時代からの延長線上だけでなく、今つくり出すものすべてが未来の三川内焼へと続くもの。そのイメージを胸にいだきながら、やきものを手がけています。

    釣り好きな中里さんが描いた魚のシリーズ。会話も楽しくはずむ食卓に。

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