きものと響き合う 異国情緒に満ちた布An oriental cloth with an aura in a kimono
ラオスやカンボジアの手織りの布の魅力を、きものスタイルに取り入れながら発信している「PONNALET」。精緻な文様が放つ異国のオーラに、思わず視線を引き寄せられます。
[PONNALET] conveys the charm of hand-woven cloth from Laos and Cambodia while incorporating it into the kimono style. You will be drawn to the foreign aura of the delicate patterns.
きものに新風を運ぶ、地球からの贈り物
“偉大な川”という名を持つメコン。遠くチベット高原に端を発するその川は、肥沃な土壌を育みながら人々の交流を生み、脈々と受け継がれる卓越した織物をこの地にもたらしました。20年以上前にラオスやカンボジアを訪れ、雄大な大地の鼓動と寄り添いながら仕上げられる織物を目にした「PONNALET(ポンナレット)」の江波戸玲子さんは、一瞬にしてこの神秘的な布に魅せられたといいます。
蚕を育て、糸を紡ぎ、草木で染めた糸を、素朴で温かみのある布へと織りあげてゆくラオスの女性たち。一度は途絶えそうになった絣の技を受け継ぎ、力強く生きているカンボジアの人々。「PONNALET」では、こうした織りの思いを丁寧に掬い上げ、まるで機の音が響くかのような美しい布から、バッグや草履、帯を創作しています。
さらに、美しい手仕事を探求する思いは新たな出会いを運び、インドの手刺繍やブロックプリント、イタリアはヴェネツィアで開花した“マリアノ・フォルチュニ”の美しいブロックプリントなどもラインナップに加わりました。オリエンタルな息吹を感じる異国の布が、ひと匙のスパイスとなって、きものと融合するお洒落をお楽しみください。
3wayで楽しめるキューブバッグ
「PONNALET」の真骨頂は、江波戸さんの審美眼によってパッチワークされる作品です。ご紹介のキューブバッグは、和洋のスタイルに活躍するようにと考え抜かれています。巾着に用いられている異国の布は、インドの「カンタ」と呼ばれるもので更紗調のブロックプリントに手刺繍が施されています。このプリミティブな布の音色を大切にしながらも、民芸テイストが主張しすぎないように、鮮やかなターコイズブルーの布をパッチワークに効かせてデザイン。さらに端正なキューブ型のレザーバッグと組み合わせることで、一層スタイリッシュな表情を醸し出します。
巾着をバッグインでさりげなく覗かせるもよし、レザーのバッグだけでシャープな印象を奏でるもよし、はたまた無地感覚の麻の単衣や浴衣姿にスパイシーな巾着を効かせても……その日の気分に合わせて3通りに楽しむことができます。
レザースクエアバッグ 巾着 パッチワーク 36,300円(税込)
端切れも無駄なく、草履のアクセントに
ラオスやカンボジアの工房で織られる布の中には、女性の自立支援を目指した工房や地方の貧困家庭の女性のための職業訓練センターで制作されるものもあります。そのため、「わずかな余り裂も無駄にしたくない」という江波戸さんの思いから、草履の鼻緒へと活かされます。写真右上の草履は、足元を優雅に演出する“マリアノ・フォルチュニのブロックプリント。左下は、きりりとした表情のラオスで織られた浮き織りです。
草履 鼻緒ベネチア 各43,560円(税込)
「THE COVER NIPPON」のショップ限定で、オリジナル草履カバー&草履キーパーを作っていただきました。ラオスのシルクシフォンは皺になりにくく、透ける素材のため中にどの草履が入っているかも一目瞭然です。ぜひ、お店でご覧いただきお求めください。
きものに情趣を添える伝統の手織り帯
ご紹介の帯は、地方の貧困家庭の女性のために創設された「ホワイホン職業訓練センター」で織られた伝統文様の布を、「PONNALET」で名古屋帯に誂えた一品です。素朴で温かみのある草木染め手織り布は、ラオスの美しい自然から生まれたまさに芸術品のような存在。地球への優しさと女性への慈しみに満ちた帯は、きもの姿に成熟した大人の女性の知性を漂わせることでしょう。
ラオス草木染絹 浮織名古屋帯 173,800円(税込)
草木染めの糸を用いた浮き織りの帯。南国の風を感じさせながらも、幾何学的な文様とシックな色合いが都会的なモダンさを感じさせます。
名古屋帯 黒檀染 141,900円(税込) / 名古屋帯 藍染 141,900円(税込)
経糸には絹を、緯糸には藍(左)と黒檀(右)で染めた手漉きの紙が織り込まれた見事な紙布。単衣仕立ての紙布の帯はオールシーズン活躍、これからのシーズンは浴衣や木綿のきものとも好相性です。
豊かな緑に囲まれた環境の中で、伝統的な染織と縫製技術が学べる「ホワイホン職業訓練センター」の工房。
文/k.regalo 樺澤貴子