stitch ? 絹糸がつむぐ刺繍ジュエリー[stitch] Akiko Ishiwata (embroidery jewelery artist)
絹糸ならではの柔らかな光沢と精緻な糸づかいが、真珠や天然石と響き合う。刺繍ジュエリー作家の石渡明子さんが奏でる、奥ゆかしい華やぎの世界をお届けします。
We will deliver a world of gorgeousness, where silk threads, pearls and natural stones resonate with each other, played by Akiko Ishiwatari, an embroidery jewelry artist.
春うららの“ひとひら”
穏やかな陽光に包まれ、気持ちがふわりと高揚する季節を迎えました。日本中のそこかしこに、桜の便りが届いている頃でしょうか。
そんな春の優しい色を絹糸にそっと閉じ込めたような刺繍ジュエリーをご紹介します。帯留めとしても活躍する、精緻な糸の世界をご覧ください。
about stitch (スティッチ)
刺繍ジュエリー作家の石渡明子さんが手がけるのは、日本刺繍に使われるmade in 京都の絹糸や、金銀糸を用いて真珠や天然石を縫い込んだ、全てが1点ものとなるブローチ。
基本のステッチはフランス刺繍の技法を用いるため、日本とフランスの伝統のクロスオーバーから、石渡さんのジュエリーは生み出されます。
無数に敷き詰められたフレンチ・ノット(玉縫いの技法)と銀糸のステッチによって、遠目には平面に見える表情も、目を凝らすと緻密な奥行きに圧倒されます。
さらに、糸そのものにも、石渡さんならではのこだわりが。撚りをかけない太めの糸をオリジナルでオーダー。細い糸によるステッチと組み合わせると、躍動感のあるメリハリが生まれるそうです。「小さな世界観の中に、平面と立体の両方の要素がどちらも入っていることが刺繍ジュエリーの魅力です」と石渡さんは語ります。
「stitch」のブローチの多くは、有機的なフォルムが特徴。そのため、安全ピンの部分に帯締めを通すだけで、モチーフの向きを気にせず帯留めとして活用できます。
さらに、刺繍のブローチは土台に金属を用いていないため、存在感のある大きめなサイズでありながら、とても軽やかなことも魅力。絹糸とパールや天然石が奏でる艶やかな躍動感が、春のきもの姿に優しいアクセントを添えてくれます。
文/k.regalo 樺澤貴子