さんちのおと 恩田 陽子(岐阜)Yoko Onda -Potter from Gifu-
シンプルなフォルム、個性的で華やかな雰囲気の中に落ち着きのある大人色の存在感が印象的なうつわ。岐阜県瑞浪市で工房をかまえ作陶している恩田陽子さんをご紹介。
The simple form, the unique and gorgeous atmosphere, and the calm presence of mature colors are impressive. Please enjoy the pieces of Yoko Onda.
さんちのおと
大きな持ち手とシンプルなフォルム、個性的で華やかな雰囲気の中に落ち着きのある大人色の存在感のあるうつわが印象的な、恩田陽子(おんだようこ)さんのうつわ。 恩田さんは、うつわ生産量日本一の岐阜県の、瑞浪(みずなみ)市で工房をかまえ、ひとり作陶しています。
恩田さんは、出身の秋田で大学時代は美術を学んだのち、焼き物を探究する場所を求め、岐阜に移住。そこで、多治見市陶磁器意匠研究所を経て、美濃焼の窯元に勤め、企画デザインを担当しながら、モノ作りの現場にも入り、原料などの素材調達の業務も行い、うつわ作りのノウハウをいろんな角度から学んだそうです。
その後、2016年に独立。現在は、自宅にて、子育てをしながら、日々の暮らしの中で感じた使いやすい・使いたいうつわを中心に作陶しています。
釉薬へのこだわり
釉薬の色合いがとても印象的な恩田さんのうつわですが、やはり釉薬や色に一番こだわっているそうです。
企業に在職中、釉薬を扱っている企業だったこともあり、当時から自分だったらこんな色合いがいいかな、などと色々想像していたそうです。
釉薬の出し方を調整しやすいこともあり、敢えて電気窯を使用。約10種類程の原料を調合し、表面に質感、結晶が生まれ、その色むらや濃淡が出るように工夫しているそうです。
テストピースに色々な黄色の色がついているのは、新色の黄色の釉薬のテストの様子。何十・何百と釉薬の調合をためして理想のものを作っていきます。
鮮やかだけど深みがある色味、食材が映えるうつわ、などひとつひとつの釉薬にもこだわっていますが、それに加えて、つかい手がいろんなカラーリングを楽しめるよう、色の取り合わせにも気を遣っているそうです。
個性的で絶妙な色合いのうつわから、恩田さんの作陶の想いが伺えます。
「酸化金属を使っているので、変色したりすることも。自分自身で育てる器・変化する器として楽しんでもらいたい。」と、恩田さん。
シンプルな定番品
「うつわの形は使い勝手のよいシンプルなものが好き。」量産のメーカーで働いていた影響もあり、作り手としてだけでなく、つくり手として使いやすいうつわをつくることを大事にしているのだそうです。
次々と新しいうつわを作る作家も多いなか、恩田さんは、同様のうつわをつくることが多く、そうすることにより、自分の技術や精度が上がることも自分の楽しみになっているそうです。
今回、THE COVER NIPPONでご紹介するうつわは、まさに恩田さんの「定番品」といえるうつわ。特にマグカップは初期より製作し、シンプルなフォルムの中にも、持ち手を大きくして使いやすく尚且つモダンに仕上げています。恩田さんの定番へのこだわりが感じられるマグカップです。
バランス感のよい造形と洒落た色合いのうつわを、店頭で手に取って実感してみてください。そして、あなた好みのカラーリングをお楽しみください。
プロフィール
恩田陽子
1978 秋田県生まれ
1999 秋田公立美術工芸短期大学 卒
2001 多治見市陶磁器意匠研究所 卒
2016 瑞浪市稲津町にて作陶を始める