静中成友　塵裏偸閑
静中に友と成る、塵裏に閑を偸む

これは「静けさの中に安らぎをもたらし、忙しい時にも心を和ませる」という意味で、「香十徳」の漢詩から。香の歴史は長く室町時代よりも前から香文化があり、悠久の時を超えて、先人も香を焚き、暮らしに色どりを添えていました。香・香皿・香立ても季節に合わせて愉しみましょう。焚き終わったあとの残り香にも、余韻を愉しむ日本人の美意識が感じられます。

香十徳

「香十徳」は11世紀の北宋の詩人、黄庭堅（こうていけん）によって記された漢詩で、香の効用を端的に、格調高く表した詩文です。その後一休宗純により日本に広めたと言われています。

感格鬼神 感は鬼神に格（いた）る
– 感覚が鬼や神のように研ぎ澄まされる
清淨心身 心身を清浄にす
– 心身を清く浄化する
能除汚穢 能（よ）く汚穢（おわい）を除く
– 穢れを取り除く
能覺睡眠 能（よ）く睡眠を覚し
– 眠気を覚ます
静中成友 静中は友と成る
– 静けさの中に安らぎをもたらす
塵裏偸閑 塵裏（じんり）に閑（ひま）を偸（ぬす）む
– 忙しい時にも心を和ませる
多而不厭 多くして厭（いと）わず
– 多くても邪魔にならず
寡而為足 寡（すくな）くして足れりと為す
– 少なくても十分に足りる
久蔵不朽 久しく蔵（たくわ）えて朽ちず
– 長く保存できる
常用無障 常に用いて障（さわり）無し
– 常に用いても害がない

 

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