新年を迎える支度 松迎(まつむかえ)Preparation for the New Year “Matsumukae”
12月13日は『正月事始』の日。昔は門松にする松やおせちを調理するための薪など、お正月に必要な木をこの日に山へ取りに行く習慣があり、これを「松迎え」といいました。
December 8th or 13th is known as the "starting day", the beginning of preparation for the New Year. In the old days, it was customary to go to the mountains on this day to pick up the trees needed for the New Year, which was called "Matsumukae".
正月事始(ことはじめ)
12月13日は『正月事始』の日。この日から歳神(お正月)様を迎える準備を始めます。
旧暦12月13日が、万事に吉とされる日(鬼宿日)であったことから、この日に新年を迎える準備を始めるようになりました。昔は、門松にする松やおせちを調理するための薪など、この日にお正月に必要な木を山へ取りに行く習慣があり、これを「松迎え」といいます。薄れつつある年中行事ですが、そんな吉の日ということならば、ぜひ今日から少しずつ、お正月の準備を心掛けてまいりましょう。
会津絵「姫重」で迎えるお正月
今年のお正月は この会津絵の姫重で迎えようと思います。
はじめての会津訪問で、最初に会津絵を見たときに、描かれた絵柄は伝統的の柄なのに、斬新にもポップにも見えてくる意匠に、なんてうるわしい絵柄なことでしょうと感激し、それはまさにひと目ぼれでした。そして、「姫」という名前にふさわしい、まるみを帯びた、なんともうるわしい「姫重」。絵柄とも相性のよい、華やかな洗朱がさらに絵柄の意匠を引き立てており、うっとりとしばらく見惚れてしまったほど。小さいけれど存在感を感じさせるこのお重は、お正月のお節以外にも、ちょっとしたお料理や和菓子など、余白を持たせた盛り付けも映えることでしょう。
年の初めの改まった気持ちを、漆器という日本のうつわを使うことで表したいものです。
甦る『会津絵』
数百年の歴史を持つ会津漆器、 その中に『会津絵』と呼ばれる一連の漆器があります。
かつて会津藩を支えた武家社会、 その武家文化を象徴するとも思われる文様を持っています。 その艶やかさ、 美しさは時代を超えた今も、 少しも変わりません。
会津絵は、朱、緑、黄、茶などの彩漆に、ひときわ目立つ金箔を加えて、檜垣、 破魔矢、 松竹梅の文様、 鶴亀を配したものもあります。 文様の解釈は様々な通説がありますが、 総じて 「めでたさ」 を表わし、 祝いの席、祭事、 神事、 茶会などに使用されたと思われます。 文様のうち、 緑漆で描かれた松と竹は、 常緑という点から長寿を表わし、 朱漆で描かれた梅のその見事なまでの艶やかさは、 自由にどこにでものびる枝を表現して、春を謳歌するようにも見え、 華やかな繁栄を示すものでしょう。 梅の枝の漆絵の下に見え隠れするように矢羽根が描かれています。 これは戦の図をさりげなく絵の中に配し、 勝運を祈願したようにも見えます。このように武家文化華やかりし頃に誕生した会津絵も、 戊辰戦争の後には、 武家社会の解体とともに明治文明開化の中で、 いつしか姿を消してしまっていたのです。今ここに、 甦る会津絵として現代の工人の腕によって、 みごとに仕上げられ、 いつまでも美しい会津絵が引き継がれていきます。