骨董のある風景 神楽月 秋夜の愉しみJapanese Antiques -Joy of autumn night-
またたく間に暮れてしまう秋。美味しい酒と肴、それを彩る華やかな大聖寺の絵皿や塗のお重、秋の夜長の閑暇の愉しみ方を覚えましょう。
Autumn, when the sun goes down early. Enjoy the long autumn nights with delicious sake and appetizers, and the gorgeous Daishoji painting plates and lacquered Oju box.
またたく間に暮れてしまう秋の一日。うだる暑さからひととき開放される夏の夜とも、けだるい空気と花の香りに身を委ねる春の宵とも違う秋の夜長。人の心を屋外より室内へ、また外見より内面へと向かわせるようです。夜長の閑暇の愉しみ方を覚えましょう。
大聖寺伊万里の美しさ
伊万里といっても明治時代に加賀の国で作られた伊万里焼の写しです。
江戸時代最後の年に加賀前田家の支藩である大聖寺藩が、産業振興策の一環として、大正末期まで上質な色絵伊万里写し作品を量産しました。
伊万里よりも丁寧な絵付けの物も多く、とにかく華やかで精緻であるというのが大きな特徴です。たくさん見比べると、大聖寺の絶妙な特徴がわかってきます。小さな豆皿でも、覗き込むと万華鏡のように美しい。美術品を日常で使う贅沢を教えてくれます。
一足早くお重箱の準備
お正月に使うお重箱を、早めに準備して慣らし運転いたしましょう。
おせちのように、ぎゅうぎゅうに詰めなくても、色づいた葉っぱを小皿代わりに幾つかのおかずを載せて、ゆったりとした間を楽しんでも良いのです。
お膳の愉しみ方
秋草を生けた花瓶の台にして、おままごとのように豆皿に盛り込んだ前菜を並べて、いつもより時間をかけてゆっくりとお酒を頂く。また映画鑑賞のお供に、洋酒とナッツを載せて。秋の夜長、五感で自分を愉しませる技を色々と覚えましょう。
文/写真:藤川佳惠
*歴史の解釈には諸説ありますので、あくまでも一説とお考えください。