骨董のある風景 燕去月 涼むJapanese Antiques -Feel the cool air
夏は涼しく有りたいもの。クーラーを止めて、五感に涼しい風を吹かせてみましょう。 五感で得た「涼」は、身体の外からではなく内から涼しくしてくれ、心から満ち足りたものになるでしょう。
Hot summer is coming. Turning on the air conditioner is easy, but let's rack our brains over and blow a cool breeze to our five senses. The "coolness" obtained from the five senses brings coolness from the inside, not from outside. And it will make you pleasant and satisfied.
昔の涼しさを今に
以前は日本でも沢山作られていた金魚鉢。この昭和初期に吹きガラスで作られた金魚鉢には、水の泡のような小さな気泡が含まれており、大変結構な景色です。
金魚がいなくても、赤や白のお花を浮かべたら金魚の代わりになります。
盛夏に咲く庭の木槿を浮かべてみました。今日咲いていたのは八重でフューシャピンクでしたが、白い花弁の中央が赤くなった底紅の木槿は金魚の代わりにふさわしいようです。
こちらは金魚がすでに泳いてくれている盃洗です。盃洗はその字の通り盃を洗うために使われた道具です。昔は一つの盃でお酒を酌み交わすことで心を通わせる習わしでした。金魚の描かれた盃洗に水を張って、水草を浮かべてみたらいかがでしょう。
明治のガラスはまた趣きが違います。ちょっとふっくらして滑らかさがあるように思います。この脚付きのクープ型の器は、かき氷の器です。「氷コップ」と呼ばれます。
また、氷裂ガラスのアイスペールは、かち割り氷を入れて冷たい飲み物を楽しむも良し、花を投げ入れるも良し、ただ飾って眺めるも良し。いずれにせよ目に心地よい、素晴らしい涼しさを与えます。
昔の涼しさを感じれば、一瞬その時代のどこかの場所にぼぅっと佇んでいるような心地になります。そして気づけばそのひととき、暑さを忘れさせてくれます。
どこにいても、避暑ができます。
文/写真:藤川佳惠
*歴史の解釈には諸説ありますので、あくまでも一説とお考えください。