骨董のある風景 七夕月 梅雨Japanese Antiques - The rainy season
アルタイルとベガが、まだ昼間の熱気を帯びた夜空に輝く頃。そろそろ梅雨明けのようです。まとわりつく湿気を浚う、かち割り氷をたっぷり盛り付けた素麺が恋しくなる季節です。
When Altair and Vega were still shining in the hot night sky. It's almost the end of the rainy season. It is a season when you miss somen noodles with plenty of cracked ice, which removes clinging moisture.
梅雨どきの昼餉
骨董の大皿は何を盛り付けても迫力が出ますが、素麺のような質素な料理ほど器の力を感じることはありません。
そうめん鉢には染付が最適です。青い紅葉とかち割り氷を添えれば、夏のごちそう。薬味をたっぷり効かせてくださいね。香りのある野菜や柑橘は梅雨時期に体に滞った気を流してくれるそうです。
七夕の頃には笹を飾り、細い細い素麺を天の川に見立てて、日本の夏を五感で楽しみたいものです。
骨董の大皿は、混ぜずしに水餃子、カルパッチョ仕立てのサラダやフライを盛り合わせたり、何を盛り付けてもたいへん迫力が出ますので、おすすめです。
おととしの梅酒を飲む
固く締まった真っ青な梅を目にすると、身体の中の梅スイッチが入るような気がします。そのまま身体が求めるままに、梅仕事に取り掛かることになります。
梅酒や梅シロップを嬉々として漬け込んでも、すぐ飲めないのが悲しいところ。結局「おととしの梅酒」を出してきて身体の梅渇きを癒やすことになります。
骨董の、小さなリキュールグラスは並べてあるだけでも愛らしく、ひとくちの食前酒に最適です。日本の昔のガラスには、ピリッと凛々しい西洋のガラスにはない、柔らかで味のある、まるで生きているような手触りがあります。
暑気あたりを癒やしてくれる梅酒だけでなく、花やハーブなどの様々な香りのよいお酒をお愉しみください。
文/写真:藤川佳惠
*歴史の解釈には諸説ありますので、あくまでも一説とお考えください。