骨董のある風景 -Japanese antiques-
暮らしに 奥行きのある美を添える、骨董のうつわを。
端午の節句は菖蒲の節句ともいわれ、古く奈良時代より邪気を祓う花として菖蒲を献上する習わしがありました。
菖蒲の季節
「節は五月にしく月はなし。菖蒲・蓬などの薫り合ひたる、いみじうをかし。」
清少納言がこのように語るように、全ての節句の中で五月が一番気持ちの良い季節かもしれません。
端午の節句は菖蒲の節句ともいわれ、古く奈良時代より邪気を祓う花として菖蒲を献上する習わしがありました。現在でも菖蒲の花を一輪、白い和紙で折形をつくり包んで送ることは、相手方の健康を祈る、心を込めた風流で粋な行いです。
また後世になると「菖蒲」の音が「尚武」に通ずるところから、武家行事として男の節句となってゆきます。男児のある家では鯉のぼりを立て、武者人形、菖蒲刀などを鎧櫃の前に飾り、粽と柏餅を作って健やかに勇ましく育つことを願って祝いました。
端午の節句にふさわしく、黒塗蒔絵の図代わり武具尽くしの木皿。ずらりと並べるとたいそう迫力があります。

七寸皿で祝い膳を
子どもの心を持った大人向けには、七寸皿に「大人のお子様ランチ」を盛り込んで遊んでみてはいかがでしょうか。ワンプレートも骨董に盛り付ければ贅沢な気分に。粽、柏餅の盛り皿としても最高です。
七寸皿は骨董の定番。直径七寸、約21cmのプレートです。形が同一なので、柄を色々と変えて集めるのも楽しいものです。
鯉のぼりの季節には「龍」の柄に注目してみましょう。
中国の故事で言い伝えられる「登竜門」の門下には多くの魚が集まりますが、その中でも登り切れるのは鯉だけ。この瀧を登りきることができれば、その魚は雷で尾を焼かれ、頭上に角が生えて龍となり、雲を起こして天に昇るというのです。
この話が転じて、鯉と龍のモチーフは学問成就、立身出世に繋がる吉祥の願いが込められました。端午の節句だけではなく、合格祝い、入社祝い、昇進祝いに「龍」のアイテムは最適なのです。

文/写真:藤川佳惠
*歴史の解釈には諸説ありますので、あくまでも一説とお考えください。