仙台箪笥の歴史
仙台箪笥は江戸時代末期に誕生したといわれています。
仙台藩の地場産業として生まれ、武士たちが刀や羽織を納める身近な生活財として愛用したようです。材料にはケヤキや栗を用い、大きさは、幅4尺(約120センチ)、高さ3尺(90センチ)。ケヤキの木目が浮かび上がる木地呂塗りに、豪華な鉄の飾り鉄金具が付くのが特徴です。
生産のピークは明治から大正中期のことで、当時はヨーロッパにも輸出されました。戦時中は一時生産がストップしますが、戦後に再開され、現在も、指物、漆塗り、金具の3つの熟練した職人技によって、美しい箪笥がつくられています。
政宗が育んだ”伊達”な文化
仙台藩を築いた伊達政宗は、戦国大名として知られていますが、時代を代表する文化人でもあり、伊達家で育まれた伝統的な文化を土台に、上方の桃山文化の影響を受けた豪華絢爛、粋な斬新さなど、新しい”伊達”な文化を仙台の地に華開かせていきました。
そして、その文化は政宗だけに留まらず、時代を重ねるにつれ、後の藩主に、そして武士から庶民にまで、さまざまな方面へ広がり、定着し、熟成を加えていきました。
仙台藩の御用を務めた御職人たちが担っていた工芸品は、仙台城下の職人に引き継がれ、それは仙台箪笥へと広がっていきました。
伊達政宗が築き上げた新しい文化は、今もなお、宮城に暮らす人々の生活の中にも深く根付いています。