Japan Traditional Crafts Week開催に伴い、伝統的工芸品指定産地の中から、THE COVER NIPPONは「井波彫刻」をご紹介します。 国の伝統工芸品に指定されている欄間や獅子頭をはじめ、現代彫刻・工芸作品など、220年余の伝統を誇る井波彫刻の粋を集めた作品が勢揃い。普段なかなか東京で目にすることができない、世界に誇る伝統の技、井波彫刻の秀作をご覧ください。
井波彫刻とは
荒彫りから仕上げ彫りまで200本以上のノミ、彫刻刀を駆使する伝統の技術、技法は、国指定の伝統的工芸品、地名入り団体商標に登録されるとともに、全国にある社寺や山車に井波彫刻技術が用いられるなど、富山県を代表する工芸品です。
井波彫刻の起こりは、過去に幾度も焼失した井波別院瑞泉寺が、その都度再建されてきたことに深くかかわっています。宝暦・安永年間(1763~1774)の瑞泉寺再建の折、京都本願寺から御用彫刻師前川三四郎が派遣され、井波拝領地大工がこれに師事したのが井波彫刻の始まりとされています。井波の彫刻師は、全国各地の寺社・仏閣の彫刻を数多く手がけ、それと並行して一般住宅欄間・獅子頭・置物などにも力を注ぎました。名工の子孫によって受け継がれ、培われてきた井波彫刻の高度な技術は、全国一の規模を誇るようになり、昭和50年5月、国の伝統的工芸品に指定されました。
近年、従来の欄間、置物、衝立などの商品に加え、伝統の技術、技法を活かして、表札や看板、インテリア照明など消費者ニーズにマッチした商品開発に取り組むなど、新たな需要の開拓に取り組んでいます。
そして 全国唯一木彫刻だけの「井波木彫刻工芸高等職業訓練校」を運営し、後継者育成に努め、今や彫刻技術者200人を超える全国一の産地規模を誇る木彫刻産地として発展しています。