涼をはこぶ 編み籠バッグ
豊かな竹林が広がる九州は、竹細工も盛んな土地で、暮らしの道具から、洗練された工芸品までつくられてきました。その中でも、今回不易流行でご紹介する品々は、伝統工芸職人の手によって1本1本編みこまれた別府竹細工の編籠を中心とした籠バッグです。
別府竹細工
室町時代に行商用の籠を作って売り出したのが始まりとされています。江戸時代には、別府温泉の名が広まり、温泉の客が滞在中に使う台所用品が作られました。これらが土産物として持ち帰られるようになるにつれ、竹細工がたくさん作られるようになり、別府周辺の地場産業となりました。
明治後期に別府工業徒弟学校竹籃科が設立され、多くのすぐれた作家や技術者が出て、現在の別府竹細工の基礎が築かれました。今も日本で唯一、竹工芸を学べる公的機関が置かれ、伝統技術の伝承と研鑽によって、多くの竹工芸家・作家が輩出されています。
様々な美しい文様に編み込まれた竹ヒゴが魅せる表情は、優雅さを演出してくれ、使い込む程に艶を増し、竹特有のしなやかな手触りが生まれ柔らかくなり、何ともいえない風合いに熟成されていきます。時を重ね、そのひとだけの大切な一品となり、母娘代々と、受け継がれていくことでしょう。