古くから、生活に根差した『用の美』を確立している小石原焼(こいしわらやき)。 和食中心の食生活から、多種多様な料理が食卓を彩るライフスタイルへと移りゆく中、現代の食生活にも溶け込む新しい『用の美』を見い出し、広く親しまれている小石原焼をご紹介します。
小石原焼
福岡県朝倉郡東峰村には50軒にのぼる窯元が点在し、標高五百米の高原の小盆地に位置し、いまでこそ、交通の便もよくなりましたが、十数年前までは、山深き所、その秘境にある民窯といわれ、ただひっそりと静かなたたずまいの中で、四季むらさきの陶煙をあげていました。
1682年に、黒田光之が伊万里から陶工を招いて窯場を開いたのが始まりで、筑豊地方で最初の焼き物産地となりました。刷毛目、飛び鉋(かんな)、櫛描きなどによって表現される独特の幾何学的な文様が特色で、素焼きを行わず、釉薬を流し掛ける技法は、大分県日田市の小鹿田焼に伝わっており、小鹿田焼とは姉妹関係にあります。日本の陶芸界に大きく影響を与えたバーナード・リーチによって、「用の美の極致である」と大きく称賛されました。昭和50年には 陶磁器では日本で最初の通産省の伝統的工芸品に指定されました。
出展窯元紹介
◆熊谷 裕介(クマガエ ユウスケ) カネハ窯
昭和47年 9月1日カネハ窯長男として生まれる
平成08年 九州産業大学芸術学部デザイン学科を卒業し、家業「カネハ窯」に従事する。
平成16年 第21回小石原焼伝統的工芸品展 福岡県知事賞受賞
平成18年 第30回福岡県伝統的工芸品展 福岡県知事賞受賞
平成21年 第33回福岡県伝統的工芸品展 商工会連合会会長賞受賞
◆梶原 日出(カジワラ ヒズル) やままる窯
昭和43年 やままる窯13代 梶原二郎の長男として生まれる
昭和62年 有田工業高校 窯業科卒業
平成01年 有田窯業大学本科卒業 家業やままる窯に従事
現在 福岡県陶芸作家協会員
◆太田 万弥(オオタ カズヤ) マルダイ窯
昭和47年 小石原村皿山に生まれる。
平成04年 実家のヤママル窯にて、作陶をはじめる。
平成15年 結婚を期にマルダイ窯15代目になる。
◆太田 富隆(オオタ トミタカ) マルワ窯
昭和44年生まれ
平成02年 佐賀県立有田窯業大学校を卒業し、家業「マルワ窯」に従事する。
平成09年 長崎陶磁展 第1席長崎県知事賞 受賞 その他、西日本陶芸展、西部工芸展、日本陶芸展等で入選多数
現在 日本工芸会正会員、福岡県美術協会員、福岡県陶芸作家協会員、日本陶磁器協会筑豊支部会員。