> 髹漆の人間国宝  小森邦衛展

2013年11月30日

髹漆(きゅうしつ)の人間国宝、小森邦衛氏の籃胎・網代・曲輪、挽物による重箱・盆・椀など、繊細な作品が勢揃いします。漆本来のもつ力強さと美しさ、繊細な手仕事をご覧ください。


※写真と出展品は異なる場合がございますので、ご了承ください。

小森邦衛の作品は「籃胎」、「曲輪」、「はりぬき」という技法でつくられた素地の上に漆を塗り重ねて作られている。この“漆を塗る技”のことを「髹漆(きゅうしつ)」といい、加飾をせず、器の形と塗りの美しさを追求した作品である。いずれも素地の編目の美しさ、塗りの美しさが際立ち、おおらかで優しい表情をしている。

小森邦衛は真竹を切り出して乾燥させ、細かく削ぐところから作り、花編みに開き編み、閉じ編みなどを駆使し、曲輪で縁を作る工程まで自身の手で行い、今までにない髹漆作品を生み出した。

 細く薄い竹を編んだ目が、文様となって浮き出る漆芸「網代(あじろ)」。色彩も含めて加飾の過ぎた作品にあるしつこさはなく、飽きのこない上品さが漂う。 正倉院の御物にあるほどで、古代から竹を編んだ漆器はあった。木と違い竹は動かないため、ボディー(籃胎(らんたい))として使われてきた。だが塗る漆が厚く、編み目は見えなかった。最初は、その技法で作り沈金を施そうとしていたが、そのうちに「編み目が見えるようにした方が面白いのでは?」と気付いたのは三十歳代半ばのこと。若さならではの美意識のきらめきがあった。

   仕上げに、漆を十回近く塗る。面には凹凸があるので、研ぎはできない。塗りっ放しとなるが、刷毛目(はけめ)を残さない髹漆(きゅうしつ)の人間国宝であるゆえんだ。漆は朱に黒、焦げ茶色を基調とする。「黄や緑などの顔料もあるが、それで作品の品格を得られるか」。器全体を一色で塗る作もあるが、時に色を変えて、角形、あるいは円形に塗る。そこに、いい意味の遊びがある。緻密な仕事だけに、こんな軽妙さは欠かせない。

小森邦衛 Kunie Komori
1945年 石川県輪島市に生まれる。本名・邦博。
1970年 漆芸職人として独立。
1977年 第24回日本伝統工芸展入選。
1986年 第33回日本 伝統工芸展出品作「曲輪造籃胎喰籠」でNHK会長賞受賞。
2002年 第49回日本伝統工芸展出品作「曲輪造籃胎盤『黎明』」が日本工芸会保持者賞を受 賞、文化庁が同作品を購入。
2004年 第14回MOA岡田茂吉賞工芸部門大賞を受賞。
2006年 重要無形文化財髹漆保持者認定(人間国宝)。
石川県立輪島漆芸技術研修所主任講師、社団法人 日本工芸会理事・石川支部幹事長。

「髹漆(きゅうしつ)」
漆を箆(へら)や刷毛(はけ)で素地に塗ることを髹漆(きゅうしつ)という。素地を堅牢なものにするための下地を施した後、様々な上塗り(仕上げ)をする。

「籃胎」
削いだ竹を編んで作った器に漆を何層にも塗り重ねてゆく技法。“籃”は竹かごのことで、“胎”漆を塗るベースとなる素地のことをいう。上品な趣があり、丈夫で軽く、変形が少ないため盆や茶托などに多く使われる技法。

「曲輪」
檜(ひのき)、档(あて)などの木材を、柾目(まさめ)にそって割り、その薄板を曲げて輪状にしたものをいう。この曲輪は、組み合わされて、漆器の素地となる。これを曲輪造と呼ぶ。

「はりぬき」
型に和紙を漆で貼り重ね、型を抜いて素地とする。木や竹と違い、とても軽く、自由に形づくることができる。

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