□「ふたつの染付」
世界に誇る高い技術力で伝統を守り続けてきた三川内(みかわち)焼と、日本有数の生産力で庶民の食卓を彩ってきた波佐見(はさみ)焼。長崎のやきものを代表する両者はそれぞれ異なる歴史を持ちながら、400年以上にわたり人々に愛され続けてきました。
□純白の白磁 繊細優美な染付
繊細優美な染付、三川内焼は、平戸藩用窯の時代から約400の歴史を持つ、長崎県佐世保市で生産される陶磁器です。三川内焼は、その名を平戸焼ともい言い、慶長三年(1598年)の開窯より、当時の朝廷や将軍家へ作品が献上され、陶芸作家は、日用品から室内装飾品までいつも高級感のある「やきものづくり」に専念してきました。三川内焼の白さは、ほかの焼物にくらべて抜きん出ているといわれていますが、これは針尾島の陶石と天草石を混ぜて調合し、生み出されたいわれていますが、これは針尾島の陶石と天草石を混ぜて調合し、生み出された白さだといわれています。そして、呉須(ごす)と呼ばれる藍色の染料で図柄が描かれる独特の染付は、最も代表描かれる独特の染付は、最も代表的な伝統技法の一つで、「まるで一枚の絵のような」と評されています。繊細な筆致による絵付けで、唐子、花鳥山水、秋草文様などを生み出す染付の技と心は、今日の三川内焼に伝承され、国の伝統工芸品に指定されています。
□日本の食文化を支えた「くらわんか碗」
波佐見焼は長崎県東彼杵郡波佐見町で焼かれる陶磁器です。 同県の三川内焼とは対照的に、江戸時代から大衆向けの器を生産し、当時から染付磁器の生産量は日本一であったといわれています。波佐見焼の歴史を知るうえでも欠かせないものとして「くらわんか碗」と輸出向けの「コンプラ瓶」があります。土もの風の少し粗い素地と簡素な絵柄で、手頃な金額で売ら れたくらわんか碗は、日本の食文化の発展に大きな影響を与えました。そして、手軽で良質な暮らしの食器を供給するという波佐見焼の姿勢は、400年たった現在も変わることなく貫かれています。