
□「使う道具」
私たちが日常で使う様々な道具。とりわけ台所で扱う調理器具などはこだわる方も多いのではないでしょうか。岐阜では、刃物の名産地である関の包丁やはさみ、飛騨高山で作られるまな板やカトラリー、美濃焼のすり鉢や器など、暮らしの中とけこんだ製品を多く製造しています。

□関の刃物
その歴史は長く、今から約780年前、九州の刃匠、長船元重が関へ移り住み、関では日本刀の生産が栄えます。関には刀作りに必要な良質の土と松炭、長良川と津保川の水があったため、多くの刀匠が集まるようになったことが、関の刃物作りの始まりとなったのです。世の移り変わりに従い、刀鍛冶にも盛衰があり、江戸中期(元禄時代)には刀の需要も減り、一部の刀匠は包丁、鎌などを打つ農鍛冶に転じました。さらに明治には廃刀令が布かれ、刀鍛冶のほとんどが実用的な家庭用刃物の生産に転向し、海外への輸出も開始されました。現在でも、生産の内4割が世界各国へ輸出され、?関の刃物”はドイツ・ゾーリンゲンと並び称される、世界のブランドとして成長しています。刀から始まった関の刃物の歴史は、伝統の技として息づき、優れた機能、デザイン、耐久性に富んだ様々な刃物製品を今日まで生み出しています。

□岐阜でうまれる木工製品
森林面積80%を誇る岐阜県。恵まれた森林資源を活かし、特に北部の飛騨地域や東部の東濃地域では、製林業や優れた木工技術による家具・木製品などの木工文化が育まれていきました。伊勢神宮式年遷宮のご神木の里としても名が知れている岐阜県中津川市付知(つけち)は、豊かな木材資源を背景に、多くの木工産業がある産地として有名です。この歴史ある土地の木材から、建築・木工の知恵と技が生まれ育ち、数々の産業を担ってきています。
