日本茶 未来のカタチJapanese Green Tea -Thinking about the future of green tea-
ホタルが舞う清流と蒼い山々に抱かれた小さな村、両河内。静岡茶の未来のカタチをつくる若手「茶農家集団ぐりむ」。彼らの育んだ日本茶と、茶畑やその仕事を一年を通してご紹介します。
Ryokawachi, a small village surrounded by clear streams and blue mountains where fireflies dance. We are going to introduce a year of tea cultivation and tea making during the whole year through the works of Gurimu, a group of young tea farmers who gathered for the future of Shizuoka green tea.
ホタルが舞う清流と蒼い山々に抱かれた小さな村「両河内」は、静岡県の中央、標高350mの山間地です。そこに集い、それぞれ自園を営みながら、耕作放棄地となった茶園を再生し静岡茶の未来のカタチをつくる若手茶農家集団「ぐりむ=GREEN DREAM」。
彼らは、茶葉が持つ本来の味を引き出すため、茶葉を丁寧に育て、仕上げる。愛おしいほど美しく、おいしい日本茶を生み出しています。それは何よりも、日本茶をこうしていただくことに、改めて日本人である喜びを感じることができるほどです。
THE COVER NIPPONでは、彼らの育んだ日本茶を季節ごとにお届けするとともに、彼らの茶畑やその仕事を、一年を通してご紹介します。あなたも一緒に、日本茶の未来を築きませんか。
僕らがつくる茶の未来
幼き頃からお茶と星空に囲まれる山郷での暮らし。彼らはそれぞれの茶農家に生まれ、そしてここ両河内に集いました。豊かな緑と麗しい山々、優しい水と雄大な景色に抱かれた両河内、そこは彼らにとってはとても大切な地です。
高齢化による茶農家廃業とそれに準ずる近い将来。日本従来のカタチであった、単一浅蒸しから、産地や品種をブレンドした深蒸し、そしてペットボトルへ。時代と共に、より合理的で便利さを求め移行してきた現代における茶葉のクオリティ、旨みを求め肥料過多による人工的な旨味すぎる茶。そして右肩下がりな茶価低迷など、茶農家の未来に明るい兆しが見えない昨今。このままでは茶処、静岡茶の未来はどうなってしまうのか。
だからこそ若手が立ち、静岡の耕作放棄茶畑を管理し栽培し生産量を増やす。そしてその茶葉を丁寧に茶本来が持つ「美味しい静岡茶」に仕上げ、適正な価格で市場に供給していく。それが、僕らがつくる茶の未来であり「茶農家集団ぐりむ」のミッションです。
Aging and closure of tea farmers. The quality of tea leaves that have been transferred from traditional manufacturing methods more and more to mass-production. What would Shizuoka, the tea-producing region, look like if it were left as it is? The young people stood up, started to manage abandoned tea fields, and supply that tea to the market at a reasonable price. That is the future they make and mission of Gurimu, the young tea farmers group.
茶畑とともに
茶畑の「肥料と農薬」に細心の注意を払います。年に一度プロに依頼し土壌分析を必ず行い、必要な肥料の最低限の種類と量を見極めます。肥料に求めるのはフォアグラのように旨味を高めることではなく、あくまで茶樹を元気に健康に育てるため。茶葉が持つ本来の味を引き出すためには、何よりも健康な茶樹であること。そしてしっかり管理し「仕立て」てあげること。どこで刃を入れるのか、止めてあげるのか、を含め茶樹の作り方が重要です。
農薬も同様。有機栽培も方法ですが、彼らは「茶に虫や病気がつく」ことを避けるため、少量の農薬を使います。それは茶樹に苦しい我慢をさせたくないから。とはいえ残留農薬は残したくない。彼らは常に、茶畑に足を運び茶樹の声を聴き、今何が必要なのか?茶の言う通りに動き追及する。それが茶農家にもっとも大事なこと、と彼らは考えています。
The most important thing is to grow tea plants healthy. Every year, the soil is analyzed to determine the type and suitable amount of the fertilizer. They believe that the most important thing as a tea farmer is to always hear the voice of the tea plant, what they needed now? That is why they are not a completely organic farm but using only minimum fertilizer for the health of their beloved tea plants.
茶畑と茶葉 Gurim’s TEA
-茶に心をのせて- 豊好園Houkou en
静岡県の中央、標高350mの山間地「両河内」、目の前には日本一の富士山と駿河湾、早朝には雲海が眼下に広がる急傾斜な茶畑で育つお茶。清流と緑豊かな山郷より、「作物は足音が好き」という先人の教えを守り、畑を愛しお茶を慈しみながら、心が伝わるお茶を作り続けています。
-お茶で心に平穏を- 杉山貢大農園Sugiyama Mitsuhiro nouen
駿河湾を望む山間地のお茶所清水でも有数の茶産地「茂畑」にて、日当たりの良い傾斜地を利用し、美味しいお茶を届けたい、自分だけのお茶を作りたいという思いから、「芽重型(がじゅうがた)」と言われる栽培方法で、新芽の数を減らし養分を凝縮させ、旨味が濃厚で高品質な浅蒸茶を目指して日々お茶の栽培をしています。
-山懐にて- しばきり園Shibakiri en
静岡県は清水区の茂畑で古くからお茶をそだてています。茶葉と心がひとつに溶け合い、ゆきとどいた味になるように息をするように自然で、何気なくいつも傍にある、そんなお茶を目指しています。春には春の、冬には冬の楽しみを、四季との豊かな関わり。茶は人の味、簡素は実に難しい。本物を見抜く目を畏れ、日々精進しています。